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EMドライブに関するNASAのレポートが流出、本当に動作するという結論(srad.jp)

運動量保存則をぶち破るという、普遍的に受け入れられている力学法則を無視した結果が得られるということで、EMドライブは2000年頃の発表から長らく懐疑的な批判を受け続けていたようですが、このほど実際に推進剤なしに推力を得ることができるという結論を記したレポートが流出したようです。概要はWikipediaのEMドライブ(wikipedia.org)でも見てもらうとして、これ、実際にこの原理通りに動作するとすればアインシュタインの相対性理論級で画期的だと思う。ざっくり言うと、密閉された容器の中でマイクロ波を射出すると推進力が得られるというものなんですが、閉じた系において推進剤なしで推進力が得られるというのは、運動量保存則に明確に反します。高校物理で、物体を動かすために力を加えると同じ大きさの逆向きの力を受けるという、作用・反作用の法則を習うかと思いますが、一見するとそれに矛盾するんですよね。外部から状態変化を全く観測できない箱が、勝手に一方向へ進み始めるような感じ。状態の地磁気や大気による熱対流によるものという批判もあるようですが、真空中でも動作確認されており、地磁気説も否定されているようです。

具体的な利用方法は、宇宙空間におけるエンジンとしての利用が最たるものでしょう。生み出す力は今のところ1.2mNという、地球上では凄く小さい力ですが、推進剤を必要とせず電力のみということは、太陽光発電とEMドライブが正常に起動する状態を維持できれば無限に加速し続けることができるわけで。ロケットなどの推進力を必要とするエンジンは、探査機のペイロードを推進剤にかなりとられてしまうので、あまり大型にすることができなくなってしまいます。その点EMドライブは、上述のようにいったん宇宙空間まで射出してしまえば太陽光発電が行える限り無限に推進力を発生させられるので、機体の様々な制限がかなり緩和されるんではないかと。衛星などにつければ、大気摩擦で徐々に落下するのを防ぐために上昇させるエンジンを代替させることができ、衛星の耐用年数が相当延長できる可能性もあります。

んで、その実際の動作原理としてはまだ未解明な点が多いようですね。ウンルー効果(wikipedia.org)によるものという仮説がコメントされていましたが、ウンルー効果自体、光子が質量を持つという現代物理学の主流から外れた仮説から始まるものなので、あまり受け入れられているとは言い難い。まぁEMドライブが運動量保存則を破っている可能性が高いので、ウンルー効果ともども、現代物理学の不完全性を示しているのかもしれませんが。真空中に現れる対生成・対消滅する粒子と相互作用を起こして推進力を得ている、というコメントもありましたが、とすればEMドライブは真空からエネルギーをマクロ的に取り出した例になるんでしょうかね……。

いずれにせよ、一昔前から考えれば魔法のような話。高度に発達した科学は魔法と見分けがつかないとは言いますが、まさにそのような事実を目の当たりにするとは。

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