Phantasy Garden

休憩がてらコーヒーを嗜みつつ、ニュースヘッドラインを眺めていたところ、ちょっと気になるニュースを発見。

陸自が独自の天気予報公表、気象庁が注意(news.nicovideo.jp)

要はタイトル通りなんだけども、さっと見たときは「珍しいこともあるもんだなぁ」という感想と「まぁそりゃ注意するよな」という感想しか思い浮かびませんでした。が、ニュース記事のコメントを眺めると、意外と気象庁に対して反発している人が多いんだなぁという印象。気象予報士の勉強で気象業務法やらなんやらを叩き込んだ経験がある管理人からすると特に反発を覚えるような話でもないんだけど、実際分かりにくい法律だよねとも思います。しかし、中には勘違いや用語の曖昧さが生んだ誤解も含まれているので、そのあたりも踏まえてちょっくら書き留めておきます。

まず、気象業務法で独自の天気予報が制限されていることについて。コメントの中でも室戸台風の例を挙げている方がいましたが、これは人命にかかわる問題でもあります。信用程度が同じくらいの予報機関が異なる予報を出すと、その2つの予報をみた人は当然「どっちを信じればいいんだ?」となるかと思います。なので、警報や注意報といった重大な発表は今でも気象庁だけが行えますし、民間で独自に天気予報を行うにしても、元となる情報は気象庁から送られてきます。また、気象庁の情報を受信する設備がない場合は、天気予報を行うことが認められません。情報を一本化するというのは、防災の意味でも重要なのです。

天気予報はあくまで「制限」であって「禁止」ではない、というのも気象業務法で定められています。天気予報に関して、一定水準を満たした人(気象予報士)によって、気象業務法で定められた範囲内で天気予報を行うことは認められます。さらに「予報」と「予想」は全く別の言葉であり、予報とは「予想を業務として行い、発表すること」を指します。ちなみに、業務というのは継続する行為のことを指す法律言葉ですので、お金のやり取りは関係ありません。天気予報は「業務」と「発表」の二つを満たさなければ、該当しない言葉です。ので、個人が天気図を眺めて予想するのは発表していないので問題ないですし、学会等の研究発表ならば反復する「業務」にあたらないので問題になりません。このあたり、法律言葉としての「天気予報」というのが一般的な感覚で言う「天気予報」とちょっとズレがあるんです(ゆえに予報士試験でも問われたりするのですが)。

今回のニュースの場合、ニュースの情報だけでは何が問題だったかは不明です。推察するに、自衛隊という国家機関が独自に天気を予測して地方自治体に「広く注意を呼びかけた」のが問題だったのでは、と思います。自衛隊内部には勿論気象状態を観測する機器やシステムが整っているでしょうし、気象庁からの情報を受ける設備も整っているはずですので、発表の信頼性という意味では気象庁と同等程度かと思います。ただし、気象業務法では予報の範囲について気象庁から許可を受けなければならないとも制限されており、このあたり、民間向けに発表する必要がない自衛隊の「予報」は法に違反する可能性がありますね。地方自治体に注意を呼びかけるのは、気象庁の専権である「注意報」にも該当するかもしれません。

住民は情報をたくさん得られたほうがいいじゃないか、というコメントもありましたが、前述のとおり情報の一元化が防災上重要なのです。無意味な情報がたくさんあると意味のある情報を拾うのに時間がかかりますし、意味があるかないかの判断は非常に専門的で難しいものです。ぶっちゃけ、今回の自衛隊の発表内容は「ふーん、そんなこともあるかもしれんね」という程度にしか判断できないし、それで十分かと思います。

個人的には結構興味深い内容なので、この前の気象学会とかで発表してくれれば質問できたのになぁとか思ったり。自衛隊の天気予報の話は一度聞いてみたいですね。

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