Phantasy Garden

貴重な生活の時間の一部を費やして、なぜそこまでWebサイトの管理人は更新をしようとするんだろうか。別にそんな更新なんかしなくても人生を歩んでいくことはできるし、データがなくなってしまったらそこで終わり。そんなものに時間をかける意味があるのか。

結論を言ってしまえば、私はその意味があると思っている。その意味は他人から見たら無価値なものかもしれないが、私にとってそれはWebサイトを運営していくための大事な原動力になっている。だからこそ、こうやってWebサイトを運営しているわけだし、その期間が3年以上に及んでいる。意味がなかったら、飽きっぽい性格の私がこんなに長く続けていられるわけがない。それさえも主観であるが。

Webサイトを運営していく意味はそれぞれの管理人によって全く別だけど、共通するのはそうすることで対価となる『何か』を得られるからだ。企業でサイトの管理をやっている人ならそれは自分の給料だろうし顧客を得られるかもしれない。個人サイトなら訪問してくれた人から様々な情報を貰うことができる。逆にそれらを失ってしまう可能性もあるわけだが。

私は企業などのサイトを運営した経験はないのでそれについては具体的に言えない。なので個人サイトに絞って言及させてもらえるとすれば、その『何か』の見返りの多くは訪問者から得られるものである。意見かもしれないし、感想かもしれないし、批評かもしれないし、罵詈雑言かもしれない。コメントに限らず、『何もコメントしない』というサイトの感想を得られるかもしれない。コメントするに値しないサイトということだ。それは管理人にとって辛辣なものかもしれないが、同時にそういった情報を得られるということにも気づかなければならない。つまり、『確実に客観的な意見』として情報を得られるのだ。その『確実に客観的な意見』は勿論意見を述べた(ノーコメントという態度を含む)人の主観なわけだが、管理人という立場からは確実に客観的なのだ。自分の主張に対してそれ以外の人から主張をしてもらうというのは、討論という意味では健全な環境にある。それが罵詈雑言だったとしたら、管理人が無視して終了とすることもできる。

これはどういう意味をもたらすのか。それは他人が存在することで、自分自身を認識することができるということである。回りくどい言い方だが、少し考えてほしい。壁に向かって自分の主張をしたところで、何か有意義なものが得られるだろうか。自問自答ということではなく、主張したことによる『壁』からのフィードバックが存在するかどうか、である。これは勿論ない、と考えて差し支えない。当然だが、これは壁は人間の言葉に対して一切反応を見せないからである。かの有名なリンカーン大統領の演説でも、壁は涙を流して賛同することはない。客観的に見ればどんな素晴らしい主張でも、自分しか存在し得ないという環境では主観的な立場から抜け出すことはできず、その主張の正しさや間違い、もっと言えばその主張の価値さえ見出せない。

それが壁ではなく、人だったらどうか。少なくともインターネットに接続し、そこから情報を得られるだけの能力と知識を持った人なら、壁のようにあらゆる主張に対して反応がないということはまずありえないと考えることができる。その人の興味や嗜好に反応を起こさせる主張なら、その人は何らかの反応を示すだろう。それがWebサイトでの掲示板への書き込みやメールの送信などにつながる。その中身が管理人を支持するものか不支持するものなのかは問わない。この可能性こそが、個人サイトの管理者がサイトを更新していく大きな原動力なのではないだろうか。

他人が存在することで、自分自身を認識できるというのは自己同一性にかかわる。自分を自分であると認識できるのは、自分以外の何かがあるからであり、その自分以外の何かが自分自身の情報を与えてくれるから人間は自分自身を認識できるのである。もしその情報を与えてくれるものが何もなければ、世界全てが自分と同化してしまうことになる。世界は自分であり、自分は世界であるというのは、まさに壁にしか主張しない人と同じ状態である。主観的な情報しか存在しないのだから、正しく自分を認識することができないのだ。

とくに個人サイトで何らかの主張(エッセイやコラムに限らず、創作したイラストや音楽なども一個人の主張として捉えることができる)をするということは、ローカルな環境では得られにくいフィードバックを手軽に得られるということである。それは必ずしもその作者にとって好ましいフィードバックではないかもしれないが、それを手がかりに自分自身を向上させることができる。そういった創作などに関する主張を行おうとする向上心が自分の中にある限り、サイトの更新が止まることはないだろう。それがサイトを更新するということの意義であり、目的であるのだから。

インターネットでの、一閲覧者として、一管理者として。

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