Phantasy Garden

かなり日本の将来に幻滅したので、吐き出させてください。

『著作権の例外規定「知っている教員いる」1割だけ』
『著作権軽視 学校は“無法地帯”!? 過半数は無研修/「重要ではない」25%』

著作権法は、創作活動を行っていると切っても切れない関係といっても過言ではないと思っています。少なくとも、私自身はそういったことに頓着すると痛い目に遭うのだということを認識しているので、一応それなりの本を購入して最低限の法知識は心得ているつもりです。しかし創作活動を行わない、若しくは今まで創作活動を行ったことがないという方は他人事のように感じるかもしれません。が、近年のインターネットの発展から、この『創作活動』というものが割と一般的に普及してきていると考えられます。もし、著作権は著作財産権と著作者人格権の二つの総称であるとか、無方式主義などの意味が分からなければ、少しだけでも目を通して欲しいと思います。

単刀直入に言うと、『Webに存在するリソースは基本的に著作物である』ということです。Webサイトにしても『著作物思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(第2条1項1号)』という著作物の概念に相当するので、おおかたは著作物ということができます。一部の例外的な情報を除き、Webのリソースはこれに属するものだということは理解していただけると思います。つまり、個人サイトの運営が盛んになり、最近急増しつつある『ウェブログ』サービスなども、その内容は著作物に当たるのです。勿論、紙媒体に書いた落書きなども著作物ですが、問題が表面化するのは著作物が不特定多数に公開された時です。

リンク先のニュースを簡単に纏めると、インターネットの利用が盛んになり、小中学校でもそれに関する授業などを取り扱うことが増えてきたことに対し、それに付随して理解しておかなければならない法知識などの教育が遅れていることについて書かれています。題名からも推測できますが、なんと教える側である教師でさえこの著作権に関する知識が殆どないというのです。挙句、『訴えられたことがないので、切実な問題とならない(読売新聞:本文中)』など見当違いも甚だしい自由回答もあります。確かに著作権の侵害は主に『親告罪』であるので、著作者が訴えなければ裁判などに発展しませんが、逆を言えば訴えられれば罪になるという『犯罪行為』であることも認識しなければなりません。事実、著作権の侵害で訴えられ、有罪となった人は少なくないのです。ただ近年までは作家やアーティストなど以外の職業の人が著作物を公表する場さえ一般的なものでなかったということもあり、著作権の侵害は割合企業間や著名人などでの話で、一般にはあまり馴染みのないものであったことは否めません。しかし、現在は誰もがインターネットで気軽に作品を公表でき、著作権について個々人が改めて考えるべき時代であるということも確かです。

教師側が認識不足なものは『著作権の例外』について、無知から生じる誤解や拡大解釈による著作権の侵害です。著作権が著作者の権利を保護するのは、著作者の利益の保護を図っていますが、さらに著作物の公正な利用による文化の発展なども目的とされています。引用などもその代表でしょう。公正な利用さえも妨げることは文化の発展を阻害することであり、著作権の理念に反するというわけです。『試験問題としての複製(第36条)』や『営利を目的としない上演等(第38条)』は、学校などでよくある『著作権の例外』ですね。これらを拡大解釈してしまったり、誤った認識によって著作権を侵害してしまうパターンが見受けられます。

例えば、画像などの無断転載などは著作権の侵害に当たるのか。通常は勿論著作権の侵害ですが、『学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することが出来る。(第35条)』ということから一定の条件下で複製が認められるのです。画像の作成などの授業において画像サンプルなどとして使用するなどは、これに該当するであろうと予測できます。しかし、生徒側には無断転載を禁ずる必要もあるのです。何故なら、法文に『教育を担当する者』とあるので、生徒側がサイト作成課題などの際に画像を無断で転載することは違法なのです。もしどうしても転載したい場合は、通常の場合と同様、著作者に許諾を得てから転載する必要があります。『教育が目的の場であるから』という理由で、生徒側にも無断転載を認めるようなことはしてはいけません。むしろそれは誤った法知識を教えることになるので、教育者としても失格でしょう。こういった無知による誤解、拡大解釈による被害は、何も特別な理由があるというわけでもなく、Webサイトを持っているというだけで被る可能性もあるということです。それを『重要な問題ではない』と認識するのは、それこそが教育という意味において重要な問題です。

インターネットにおいて、特に法律関係に関して私は『無知であることは罪である』というのに概ね賛同しています。実際に罪になるわけではないのですが、無知であったことから生じた無意識の犯罪というのは、まさに『無知が罪を呼んだ』といってもいいでしょう。それを認識してなお無知であることに甘えるのは罪である、とあえて断言します。ウィルスなどの危険性を知りながら対策を取らないのも同様、自分の怠惰による行為が他人に迷惑をかけ得るのだということを自覚しなければなりません。それは現実社会でもそうなのですが、殊更にインターネットではその度合いが大きいです。不特定多数と情報の交換が出来るということは、ある意味で世界全てと繋がっているということにもなります。年齢や無知を免罪符にすることは出来ません。インターネットを利用している人は全て平等な立場にいるのですから。

長々と書いてまいりましたが、結論としては教育現場でのインターネットに関する授業は時期尚早なのかもしれません。その前に、基本的な知識としての常識、法律に関することを教師ともども教育していく必要があるんではないでしょうか。既に一家にパソコンが一台というくらいの現状、インターネットの利用が低年齢化していることは否めませんが、まずはその情報を公正に利用できるだけの基盤を身に付ける必要があると思います。その基盤は情報を操れるという技術だけではなく、法律面、倫理面からも考慮する必要があるでしょう。教える側の知識が不足しているなら尚のこと、早急に教育現場の改善を考えなければならないのはいうまでもないことです。

参考:『コンピューターユーザのための著作権&法律ガイド(プロジェクトタイムマシン著・毎日コミュニケーションズ出版)』

……あえてこの本に突っ込むなら、『コンピューターユーザのため』というより『同人製作者のため』という気がするのは私だけではあるまい。何ゆえキャラクタプロフィールが存在するのですか。巻末にキャラクタのラフ画などが載っているのですか。内容は至極まともなんだけどナー。

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